基礎知識:子午流注

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   子午流注を学ぼう!

愛犬が決まった時間に咳をする、朝方に目が覚める、夕方に興奮しやすい。こんな経験はありませんか?

中医学では、体の臓器が時間帯によって活発になったり休んだりすると考えられているんです。この考え方を「子午流注(しごるちゅう)」といいます。今日は、愛犬の体内時計を理解して、より体に優しい生活リズムを作るヒントをお伝えしますね。

   子午流注とは?

子午流注は、中医学における時間医学の考え方です。1日24時間を12の時間帯に分け、それぞれの時間帯で特定の臓器が最も活発に働くとされているんです。

「子午」は、子の刻(23時〜1時)と午の刻(11時〜13時)を指し、1日の陰陽の転換点を表しています。「流注」は、気血が経絡を流れ、特定の臓器に注がれることを意味するんですね。

つまり、体の中を巡るエネルギーが、時間帯によって特定の臓器に集中する。この自然なリズムに沿って生活することで、体の働きを最大限に活かし、健康を保つことができるという考え方なんです。

愛犬の体調変化が特定の時間帯に起こりやすいのは、決して偶然ではありません。体の内側で、臓器たちが規則正しく働いているサインなんですね。

   子午流注の12の時間帯

それでは、12の時間帯それぞれで、どの臓器が活発に働いているのか、そして愛犬の生活にどう活かせるのかを見ていきましょう。

  子の刻(23時〜1時):胆

胆は決断力を司る臓器であり、肝と協力して気の巡りを整えています。この時間帯は、体が深い休息に入り、細胞の修復や再生が行われる大切な時間なんです。

愛犬がぐっすり眠れるよう、静かで落ち着いた環境を整えてあげましょう。この時間に質の良い睡眠が取れると、翌日の元気につながります。もし愛犬がこの時間帯に落ち着かない、起きてしまうといった様子があれば、胆や肝の働きが乱れているサインかもしれません。

  丑の刻(1時〜3時):肝

肝は気の巡りを調整し、血を蓄え、解毒を行う重要な臓器です。この時間帯は、肝が最も活発に解毒作業を行い、血を浄化しているんです。

深い睡眠が必要な時間帯。愛犬が安心して眠れる環境を保つことが大切です。もしこの時間帯に目を覚ます、体を掻く、イライラするといった様子があれば、肝に負担がかかっている可能性があります。夜遅い食事や消化に負担のかかる食べ物を避けると良いでしょう。

  寅の刻(3時〜5時):肺

肺は呼吸を司り、全身に気を巡らせる臓器です。この時間帯は、新鮮な気を体に取り込む準備が始まる時間なんです。

もし愛犬がこの時間帯に咳をする、呼吸が荒くなる、目が覚めるといった様子があれば、肺の働きが弱っているサインかもしれません。呼吸器系のトラブルを抱える愛犬は、この時間帯に症状が出やすい傾向があります。寝室の空気を清潔に保ち、乾燥しすぎないよう気をつけてあげましょう。

  卯の刻(5時〜7時):大腸

大腸は不要なものを排出する臓器です。この時間帯は、体が目覚め、排泄の準備が整う時間なんです。

朝の排便は、この時間帯が理想的。愛犬を朝のお散歩に連れ出すことで、大腸の働きを助け、スムーズな排泄を促すことができます。もしこの時間帯に便秘がちだったり、逆に下痢をしやすかったりする場合は、大腸の働きが乱れている可能性があります。

  辰の刻(7時〜9時):胃

胃は食べ物を受け入れて消化する臓器です。この時間帯は、胃の消化力が最も高まる時間なんです。

朝食を与えるのに最適な時間帯。胃がしっかり働いてくれるので、食べたものをしっかり消化吸収できます。食欲不振の愛犬も、この時間帯なら食べてくれることがあるかもしれません。逆に、この時間帯に食欲がまったくない、吐き気があるといった様子があれば、胃の働きが弱っているサインです。

  巳の刻(9時〜11時):脾

脾は消化吸収を担当し、食べたものを気血に変える臓器です。この時間帯は、胃で消化されたものを、体のエネルギーに変える作業が活発になるんです。

朝食後のこの時間は、静かに過ごすのが理想的。激しい運動は避けて、消化に専念させてあげましょう。もしこの時間帯に元気がない、疲れやすい、お腹が張るといった様子があれば、脾の働きが弱っている可能性があります。消化に良い食事を心がけると良いでしょう。

  午の刻(11時〜13時):心

心は血液循環と精神活動を司る臓器です。この時間帯は、陽気が最も高まる時間で、心の働きも最も活発になるんです。

お昼の時間は、適度な休息が大切。陽気が高まりすぎると、興奮しやすくなったり、体が熱っぽくなったりします。静かな場所で休ませてあげることで、心の負担を減らせます。もしこの時間帯に興奮しやすい、ハアハアしやすい、落ち着かないといった様子があれば、心に熱がこもっているサインかもしれません。

  未の刻(13時〜15時):小腸

小腸は食べ物の栄養を吸収し、清濁を分ける(必要なものと不要なものを分ける)臓器です。この時間帯は、栄養の吸収が最も活発になるんです。

食後の消化吸収の時間なので、ゆっくり休ませてあげるのが理想的。もしこの時間帯にお腹の調子が悪い、排尿トラブルがあるといった様子があれば、小腸の働きが乱れている可能性があります。

  申の刻(15時〜17時):膀胱

膀胱は水分代謝を調整し、尿を溜めて排出する臓器です。この時間帯は、水分代謝が活発になり、体の余分な水分を排出する時間なんです。

夕方のお散歩に適した時間帯。膀胱の働きが活発なので、スムーズな排尿を促せます。もしこの時間帯に頻尿、尿漏れ、排尿困難といった様子があれば、膀胱や腎の働きが弱っているサインかもしれません。

  酉の刻(17時〜19時):腎

腎は生命エネルギーの貯蔵庫であり、成長、生殖、老化に関わる重要な臓器です。この時間帯は、腎が1日の疲れを癒し、生命力を蓄える時間なんです。

夕食を与えるのに適した時間帯。ただし、遅すぎる食事は消化に負担をかけるので、この時間帯までには済ませたいですね。もしこの時間帯に疲れやすい、足腰が弱い、耳のトラブルがあるといった様子があれば、腎の働きが弱っている可能性があります。

  戌の刻(19時〜21時):心包

心包は心を保護する役割を持ち、精神の安定や血液循環を助ける臓器です。この時間帯は、1日の活動を終えて、心身をリラックスさせる時間なんです。

静かに過ごし、翌日への準備を始める時間。愛犬との穏やかなスキンシップや、軽いマッサージをするのに適しています。もしこの時間帯に興奮しやすい、落ち着かない、動悸があるといった様子があれば、心包や心の働きが乱れているサインかもしれません。

  亥の刻(21時〜23時):三焦

三焦は体全体の気と水分の巡りを調整する、特殊な臓器です。この時間帯は、体が休息モードに入り、翌日への準備をする時間なんです。

就寝の準備を始める時間。照明を落とし、静かな環境を整えて、愛犬が自然に眠りにつけるようサポートしましょう。もしこの時間帯に落ち着かない、体が熱っぽい、むくみがあるといった様子があれば、三焦の働きが乱れている可能性があります。

   体のリズムに寄り添う生活

子午流注の考え方を知ることで、愛犬の体調変化が「なぜその時間帯に起こるのか」が見えてきます。朝方の咳は肺の時間帯、夕方の興奮は腎や心包の時間帯と関係しているかもしれません。

大切なのは、この自然なリズムに逆らわず、体の働きを助けてあげること。食事は胃と脾が活発な朝から午前中に、排泄は大腸と膀胱が活発な朝と夕方に、休息は陰の時間帯である夜にしっかり取る。

こうした基本的なリズムを整えるだけで、愛犬の体は本来の力を発揮しやすくなります。もちろん、現代の生活リズムに完全に合わせるのは難しいかもしれません。でも、子午流注の考え方を知っているだけで、愛犬の体調変化を理解し、より優しくケアできるようになるはずです。

薬膳は食材選びだけではありません。時間という視点を加えることで、より深く愛犬の体を理解できる。子午流注は、そんな新しい気づきをくれる、中医学の知恵なんですね。

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